- 羽生九段が降級したって本当?
- あんなに強かったのに…
- 羽生九段のこれまでの成績を教えて!
まさか羽生九段が、B級2組に降級するとは思いもしなかった方も多いのではないでしょうか?実は私もそう思っていた1人です。なぜなら今期は出だし2連勝で順位も5位だったからです。

羽生先生はA級へ復帰するものだとばかり思っていました…
私は羽生九段の全盛期には、全国各地の大判解説会へ応援しに行っていました。この記事では羽生九段がB級2組に降級した理由と、これまでの成績と勝率を解説しています。この記事を読むと、羽生九段が今も活躍している棋戦が分かります。結論は、B級2組で指すかフリークラスへ転出するかに関係なく応援し続けることです。




羽生先生は会長職を降り、1人の棋士として生きる道を選ばれました!
これからも変わらずABEMAで応援しています。
羽生九段がB級2組へ降級した【対大橋貴洸七段】



今回は早くから注目された1局でした。羽生九段が勝てば残留、負ければ降級です。
以下で羽生九段と大橋貴洸七段の最終局を振り返りましょう。
対大橋貴洸七段戦は過去2勝0敗
大橋七段は順位戦B級1組、竜王戦4組に所属し、棋士デビューが同期の藤井聡太竜王・名人に直近4連勝中の数少ない藤井キラーの1人です。羽生九段は20歳以上若い大橋七段には、これまで2勝負けなしです。
私も羽生九段は将棋連盟会長職で忙しいながらも、大橋七段相手に負けないだろうと思っていました。羽生九段はこれまで幾多の修羅場を「羽生マジック」でくぐり抜け、現在に至っているからです。
大橋貴洸七段は6連勝中と絶好調
大橋七段は今年に入り絶好調で、直近6連勝の対戦相手は次の棋士です。
対局年月日 | 対戦相手 | 棋戦 |
---|---|---|
2025/2/25 | 佐々木大地 | 王位戦 挑決リーグ |
2025/2/10 | 高田明浩 | 王将戦 一次予選 |
2025/2/6 | 斎藤慎太郎 | 順位戦B級1組 |
2025/1/24 | 藤本渚 | 王座戦 二次予選 |
2025/1/20 | 井田明宏 | 棋聖戦 二次予選千日手指し直し局 |
2025/1/16 | 佐藤康光 | 順位戦B級1組 |
大橋七段が勝ったのは、佐藤康光九段に始まり、若手で高勝率の藤本渚六段や王位戦挑戦経験のある佐々木大地七段まで早々たるメンバーです。大橋七段は王位戦の挑決リーグ白組にも参加しており、挑決リーグの赤組で戦っている羽生九段と同等の位置まで上がってきました。
順位戦としは早い21時47分に【羽生九段投了】
両者の対局は羽生九段の先手で始まり、羽生九段の矢倉に対し大橋七段が雁木のバランスの取れた形で駒組みが進みます。銀桂交換で大橋七段が駒得し、後手ながら中盤まで終始形勢を損ねずに、終盤で羽生九段の攻めがなくなった将棋でした。
終盤は羽生九段が局面よりも、上を見上げてため息をつく場面も見られ勝負所を作れなかった悔しさが見てとれました。下記の大橋七段のポストの通り、徐々に大橋玉が安全になって順位戦としては22時前に決着がつく早い終局です。
羽生九段が降級したB級2組で指すかの決断は【羽生マジックだった!】



対局前から羽生九段が降級すれば、フリークラスへ転出するかが話題になっていました。
当日私は、羽生九段が投了した瞬間に残念でABEMAを観ていられず、電源を切ってしまいました。以下で羽生九段の終局後に行われたインタビューから見ていきましょう。
羽生九段の終局後インタビュー
朝日新聞社の取材班もさぞかし聞きづらかったことでしょう。以下の問答が行われました。
- 来期、B級2組で指されますか?
-
今日は、目の前の対局に全力を尽くそうと思っていましたので。先のことは、あまり考えていなかった、というのが率直な感想です。
今の段階でどうこうということはないので、いずれにしても年度末までには答えを出さなきゃいけない、と思っているので。それまでにはハッキリすると思います
私は正直驚きました。「目の前の対局に集中するだけです」のような言葉を期待していたからです。まさか「答えを出す」という言葉が出てくるとは…。将棋連盟会長職に集中するか、自身の対局にも集中したい気持ちから出た言葉なのではないでしょうか。
2022年3月のA級陥落の時点では、下記ポストの通り「対局内容の反省を生かしたい」と羽生九段らしい前を向いた言葉だったからです。
B級2組でも続けていただきたいが複雑【羽生九段推し】
羽生九段推しの私としては、B級2組でも指し続けていただきたいです。タイトル獲得99期の羽生九段がフリークラスへ転出するのには違和感があります。
いずれにしても周囲があれこれ言うべきではありません。羽生九段の決断を待ちたいと思います。
A級陥落で森内九段は【フリークラスへ転出】
かつてA級を陥落した森内九段は、2017年度からフリークラスへ転出しました。将棋連盟の理事への出馬や将棋普及に貢献される想いだったのでしょう。YouTubeの「森内チャンネル」も2020年6月からの発信です。
伊藤果八段のポストにあるように、美学があり潔い決断でした。
現在の羽生九段の成績と勝率
2025年3月6日対局分までの通算成績は次の通りです。
棋士名 | 対局数 | 勝ち数 | 負け数 | 勝率 |
---|---|---|---|---|
羽生善治 | 2298 | 1580 | 716 | 0.6881 |
谷川浩司 | 2351 | 1401 | 947 | 0.5966 |
佐藤康光 | 1851 | 1120 | 731 | 0.6050 |
森内俊之 | 1635 | 998 | 637 | 0.6103 |
以下トップ棋士2名 | (途中略) | (途中略) | (途中略) | (途中略) |
渡辺明 | 1195 | 769 | 426 | 0.6435 |
藤井聡太 | 486 | 402 | 83 | 0.8288 |
羽生九段は2024年度の勝率が5割を切っています。ただし、通算勝率が7割を下回ったものの他の棋士から抜きん出ています。一方では、対局数が2351局という谷川九段の偉大さも伝わってきます。
さらに、今もなお下記棋士が上位で戦っているのは驚きです。
渡辺九段は40代になったばかりなので、年齢的にはまだ活躍できるでしょう。
羽生九段がB級2組に降級し渡辺九段がA級に残留できた理由



2025年3月時点でのタイトル獲得数が多い現役棋士は、羽生九段と渡辺九段です。今回の順位戦では2人の明暗が分かれました。
渡辺九段はA級の座を死守したものの、一時は足のケガでA級からの陥落の可能性があったのです。前十字靱帯再建手術後の年末年始は、入院生活でした。
一回り以上の年齢差がある
羽生九段と渡辺九段の誕生日は次の通りです。
14歳の年の差があり、一回り以上離れています。羽生九段が41歳の2021年度は、王位を奪取したものの、名人位を失冠し渡辺九段に王座を奪取されました。羽生九段は、名人位失冠後のA級順位戦では全勝優勝を果たしています。
渡辺九段は持ち時間の長い将棋に強い【初代永世竜王】
羽生九段と渡辺九段ののタイトル獲得数内訳は下表の通りです。
タイトル名 | 竜王 | 名人 | 王位 | 王座 | 棋王 | 王将 | 棋聖 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
持ち時間 | 8時間 | 名人戦9時間 | 8時間 | 5時間 | 4時間 | 8時間 | 4時間 | ー |
羽生善治 | 7期 | 9期 | 18期 | 24期 | 13期 | 12期 | 16期 | 99期 |
渡辺明 | 11期 | 3期 | 獲得なし | 1期 | 10期 | 5期 | 1期 | 31期 |
99期と31期で渡辺九段は羽生九段の1/3ですが、持ち時間の短めのタイトル(4時間・5時間)では、羽生九段53期、12期と1/4以下です。これらの1日制のタイトル戦は、圧倒的に羽生九段が強いです。
渡辺九段は竜王と棋王の獲得が多いなどタイトルの獲得数にばらつきがあります。持ち時間の多い中でも、竜王・名人だけを見ると、羽生九段16期に対し渡辺九段は14期と長い持ち時間のタイトル戦で強い傾向が伺えます。
羽生九段と渡辺九段の戦い
羽生九段と渡辺九段は竜王戦を中心に数多くのタイトル戦を戦ってきました。初代永世竜王を争った第21期竜王戦は、羽生九段3連勝の後に渡辺九段が4連勝した名勝負でした。
2025年3月時点では下表の通り羽生九段が44勝、渡辺九段が39勝と、まだ羽生九段がリードしています。
棋士名 | 対戦成績 | 棋士名 | 対局数 |
---|---|---|---|
羽生善治 | 44-39 | 渡辺明 | 83 |
羽生善治 | 116-55 | 佐藤康光 | 171(現役棋士最多) |
羽生善治 | 106-62 | 谷川浩司 | 168 |
羽生善治 | 80-61 | 森内俊之 | 141 |
羽生善治 | 57-29 | 郷田真隆 | 86 |
羽生九段が羽生世代の棋士に大きく勝ち越しているのに比べ、渡辺九段はほぼ互角に渡り合っています。
羽生九段が活躍している棋戦【2025年3月時点】



ここでは羽生九段が活躍している2つの棋戦を紹介します。
過酷な挑戦者決定リーグがある王将戦と王位戦です。
【王将戦】藤井聡太竜王・名人へ第72期2022年度に挑戦
2022年度の第72期王将戦では、羽生九段は藤井聡太竜王・名人に挑戦し、惜しくも2勝4敗で王将位の奪取に失敗しました。当時はタイトル戦で藤井聡太竜王・名人に2勝したのは、広瀬九段だけだったので2人目の2勝上げた挑戦者です。第4局を終えた時点で2勝2敗で、ひょっとすると羽生九段が勝つかもしれないと思った方も多かったでしょう。




私は羽生先生が王将を奪取すると思っていました…
その後、羽生九段は2024年度の第74期挑戦者決定リーグで陥落しています。
【王位戦】挑戦者決定リーグ残留を継続
第65期王位戦では、2024年5月14日の挑戦者決定リーグ最終戦で飯島栄治八段に敗退し3勝2敗に終わりました。あと一歩のところで挑戦者決定戦に進めませんでした。
第66期王位戦の挑戦者決定リーグでは、白組で挑戦者を目指し奮闘中です。
まとめ|羽生九段が降級しても応援することに変わりはない



羽生九段が降級した翌日の正午に以下の2つポストがありました。どちらも順位戦対局日の2025年3月6日が終わるのを待っておられたのでしょう。
2024年12月の飼い犬で家族だったリリーさんから、訃報が続いています。羽生先生とご家族の皆さまのご健康を願っています。




以下の記事では羽生先生の本を中心に紹介しています!
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